人の容姿をバカにする人に訪れる悲劇

仕事で知り合った人が、人の容姿について（悪い意味で）話題にしていた。
自分の顧客に対して、「のっぺりした整形顔が特徴」みたいな話をしていたと思う。

私は笑顔で話を聞きつつ、「ん？」と言う引っ掛かりを感じた。

自分に無関係な層の悪口ならまだわかるけど、仕事を依頼してくれた人に対するコメントだ。
（何か嫌な対応をされたのかもしれない）

その子はとても可愛くて若い女性だ。（整形ではなく天然に顔の作りが整っている）
仕事もできて気も利いて、愛想も頭も良い。
常に笑顔で、「よくできた子だなぁ」と感心していた。

ただ、顧客に対するそのコメントを聞いたときに、その子からどこかほんのりとした悪意を感じた。

そして後日、その子に仕事を依頼していた人から、仕事をキャンセルされた話を聞いた。

なるほど。多分、その子は若さと恵まれた容姿ゆえに選択肢がたくさんある。
だから、自分の都合で生きていられる時間がまだあるんだと思う。若さと恵まれた容姿ゆえに人に対する感謝や思いやりが欠けているのかもしれない。

私はこの子に説教できるような人間ではない。以前私もやらかしたことがある。
私にLGBTに対する意識が全然なかったとき、体格の良い男性がくっついてお寿司を食べているのを見た私は、友達に
「ゲイかな？」と、面白半分に声をかけた。いつも穏やかで私の言うことを笑顔で聞いてくれる友達が、その瞬間凍りついた雰囲気を発したのを感じた。

その友達は私よりもだいぶ年下で知能も高く性格も良い子だったから、そういった文化やLGBTに対する私の偏見に嫌悪したのだと思う。

その時私はとても反省した。LGBTに対することも調べた。調べずともわかるはずの話で、私は自分を恥じた。
あの時、友達が私の態度に嫌悪してくれなかったら気がつかなかったかもしれない。だからその友達には感謝しかない。私はたまたま身近に注意してくれる人がいてラッキーだった。

このように、私だって自分に関係のないことには無神経になって人を傷つける。気がついたら反省して改めていくことができるけど、中々自分で気がつくことは難しい。

…かと言って、私がその若い子に助言するかと言ったら、しない。
一時的な繋がりだから、いちいちその子に説教なんてしない。私の方が一回りくらい年上だからパワハラ扱いされても嫌だし。もっと仲良くなれたら、話すこともできるかもしれない。でもその子とは1回きりの付き合いだった。

過去の私のように、どこかで痛い思いするんだろうな、と思う。でも、痛い思いをした方がいい。人にも自分にも優しくなれる。だから、なるべく早めに痛い思いを経験できるといいね、と人知れず祈るのである。

またこれは別の話。
仕事を振ってくれたとある事務所の男性が取引先の30代前半の女性の服装について語ってきた。
「あの年齢であのギャルっぽい格好はきつい」みたいな内容だった。
その当時、私も30代前半。

私は心の中で「いくつだろうと、好きな格好して何が悪いの？あんたのための服装じゃないよ。どの面下げて言ってるんだろう。」と不思議で仕方なかった。
その男性はアラフィフの見るからに冴えない中年男性だ。（そっちが女性を年齢でジャッジするならこっちも容姿のことを言わせてもらう）

その男性はとても良い人で、未経験の私に仕事を振ってくれるくらい苦労人ではあった。だから、そんな人が女性に対してそんな浅はかな意見を言ったことが信じられなかった。
アラフィフともなれば色々苦労してきて、人の気持ちもわかるだろうに。でも、その男性のように女性に対してそんな浅はかな思いしか持てない人は少なくない人数存在している。

このような人は感情で諭しても伝わらない。パワハラやセクハラやモラハラで訴えられたりして、地位を脅かされた時に初めて気がつく。気がつくのは「傷ついた相手の気持ち」に、ではない。「これはやっちゃダメなことなんだ」
という未就学児に諭すような倫理の問題についてだ。

こういった男性とは当たり障りなく接して、心の中で強化ガラス以上の強度の見えない壁を作っておく。彼らとは根本的に感性が違うんだと思う。仕方ないことだ。

男性は女性の年齢や容姿をとやかく言う前に、今一度自分の姿を全身鏡で見てほしい。（横、後ろの姿も全身で見てほしい）
そして自分の全身写真をSNSで公開して、一般市民の素直な意見を問うてほしい。

容姿や年齢に自信のある女性は、「20年後の老いた自分」を再現できるアプリで老いた自分の顔を確認してほしい。人の容姿をバカにすることは、未来の自分をバカにすることと同じだ。

まとめると、人の容姿をとやかく言うとろくなことにならないと言う話でした。
これは言わなくても思っているだけでもろくなことになりません。人をばかにする前に、そんな自分の状態に危機感を持ちたいと思います。