悲しみは現実と向き合うための大事な感情

感情


悲しくて悲しくて涙するとき、それは自分が前を向き、立ち直っていくための大切なプロセスです。「悲しみ」を感じることがなぜ人生を前向きに進めることに繋がるのか、お話したいと思います。

悲しみとは

心が痛み、辛い状態。無力感、脱力感、失望感、挫折感などを伴い、「胸が締め付けられる」といった身体的感覚と共に、「涙が出る」、「表情が強張る」、「意欲・行動力・運動力が低下する」などが観察される。

なぜ「悲しみ」が起こるのか


ちょっと科学的な話になりますが、人が悲しみの感情を感じるときというのは、脳内では情報のやりとりが行われています。

目や耳から何らかの情報が脳に伝わるとき、
また人が過去の出来事やまだ起こっていない出来事をイメージするとき、脳の各部位が連絡しあってそれがどのような情報であるかを評価します。記憶や認識パターンと照らし合わせて「悲しみをもたらす情報である」と判断が下されると、脳内からドーパミンの分泌が抑えられ、ノルアドレナリンが分泌されます。つまり、喜びが感じられなくなり無気力になる、食欲がなくなったりするといった反応が出てくるのです。

現実を受け入れているからこそ「悲しみ」が生じる


悲しいという感情が出るには、まず悲しみをもたらした出来事や情報を受け入れる必要があります。「大好きな恋人に振られる」、「信頼していた相手に裏切られる」といった出来事が起こってしまっても、その現実を自分が受け入れないと悲しみは生じません。

脳の前頭前野というところには「私はこういう存在である」、「私はこういう世界に生きている」といった自分によって作られた信念(認識パターン)があり、悲しみの多くはこのバランスが崩れることによって生じます。裏切りや振られるなどしたときに、この信念(「恋人と楽しく暮らす人生」、「大事な人が私を裏切ることはない」とか)を形成する大事な部分が失われます。それを受け入れなければならない事態に陥ったとき、人は悲しみを感じるのです。

「こんなことって起こるんだな」
と現実を受け入れている状態だからこそ、悲しくて涙するのです。

ここで現実を受け入れたくないと拒んでいると、本当は苦しいのに変にポジティブに捉えたり、怒りや憎しみが湧いたりと、健全な形で人生を立て直すことができなくなってしまいます。
望まないことが起きた直後は、喪失感で現実を直視できないことはあると思います。でも、落ち着いて自分の気持ちに寄り添ったときに、素直に心から悲しみが溢れ出してくるのではないでしょうか。

悲しみ切った後に起こる癒し


とにかく悲しみを体で感じ切ります。子供のようにわんわん泣いてもいいのです。もし場所が許すなら思い切り声をあげて叫んでもいいかもしれません。それくらい悲しみを全身で表現できたら、とてもスッキリします。

ここで流れる涙って実は体と脳にとてもいいんです。
なぜかというと、悲しみを感じたときに脳内で分泌されるノルアドレナリンには毒性があります。体内の活性酸素を増加させたり免疫を抑制したりしてしまうんです。だから、人間は長時間ノルアドレナリンにさらされるわけにはいかないのです。そこで、涙を流すことによってノルアドレナリンを抑え、精神の安定をもたらすセロトニンが分泌されます。つまり、悲しくて泣いた後には必ず癒されるということなんですね。

本当はものすごく悲しいのに強がったり、恥じだと思ったりして泣くことを我慢するのは脳にも体にもよくないのです。大人こそ悲しいときには素直に涙を流した方がよいのです。
悲しいときには我慢せず思い切り泣くことが、立ち直るための近道なのかもしれません。

悲しみの先に見える未来


望まない現実が起こったとき、悲しみ切って涙を流した後は、冷静に現在の自分と向き合うときがきます。

「そうか、こんなことも起こりうるんだな。」
「楽しくやってたつもりでも私にも非があったのかもしれない。」

と、冷静になって今までの自分を見ることができます。頑張った自分、至らなかった自分。どの自分も肯定してあげてください。そして、「どんな未来を生きたい?」と自分に聞いてみてください。悲しみを経験したあなたなら、この先も自分の力で素晴らしい人生を創っていけます。前よりも力強く自分らしく生きることができます。乗り越えられない悲しみはありません。乗り越えた先に想像以上の素敵な世界が待っていてくれると信じて、日々を健やかに生きて行きましょう。




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