どん底を味わった人は、面白い

今日のマコ

どん底に落ちた人は、心が真っ黒になってしまうような体験をしたことがある。そういう人は面白い。

人生を楽しむために必要なことってなんだと思いますか。
お金? パートナー? 健康? 仕事?

確かにこれらのことは生きていく上で、あれば良いものですよね。もちろんあったほうが楽しいけど
、私はこれらのことは表面的に人生を楽しんだり安心したりするためのものだと思っています。

それ以上に私が人生を楽しむために必要だと思っていることは「落差」です。
0地点からプラス100、0地点からマイナス100。どちらも差は100ですが、上に上る100よりも下に落ちる100を経験することが大切だと考えています。

希望や夢を持って生きていても、望まないことは訪れます。その時に人はマイナスに落ちていきます。恐れ、怒り、憎しみ、悲しみ、絶望などすごく激しい情動を味わいます。色に例えるならダークな色です。

その渦中にいるときは苦しくて苦しくて「どうして私の人生こんなことになってしまったの」とやるせない気持ちになっていると思います。

こんな真っ黒な感情を味わって、人生どん底に落ちた時に見る世界。今までのことが全部虚像だったかのような感覚になります。幸せだと思っていたことが実は薄っぺらくて頼りないものだったり、愛だと思っていたものが利己的な嘘だったり。今までの世界が崩壊していく感覚。

普通に考えれば、味わいたくないようなこの感覚こそが、人を奥深く面白みのある人格に磨き上げてくれることになります。物事には割り切れないこともあるし、正しいことが一つではないことだってる。そういった複雑な思いをしながらも自分はどう生きていくかを苦悩しながら考えて進むその姿勢が自分を魅力的にしていきます。

順風満帆、波風立たずに進んでいく物語が映画で上映されていたとしても、何かを求めている人の心は動きません。「それはよかったね。」でおしまいです。
そこには何の意識の目覚めも起きないでしょう。
今までの世界が崩壊して何もない焼け野原に佇むことになったとき、そこからどうやって再生するのか、そんな主人公の底力を人は見たがります。人は人の生命力に触れたいと思っているのです。


マイナスの情動のパワーはすごいものです。深く強くマイナスの情動が生み出されたということは、逆サイドの情動、喜びや楽しさなどのプラスのものを受け取れる器も、大きく成長しているということです。それどころか、生き抜く知恵や現実と向き合う強さや勇気も身についていきます


スタート地点がプラス100の人と0の人がいます。プラス100の人がさらにプラスに100を与えられます。プラス200の世界です。0の人がマイナス100になります。その地点ではマイナス100の世界です。でも時間が経つと、マイナス100の人はプラス1000にも10000にも拡大するパワーを得ることになります。マイナスになることは決してずっとマイナスでいることではないのです。逆にプラスになることは大きなパワーが出せるとは限らないのです。

五角形のグラフを思い描いてください。
知性、人間力、喜び、苦しみ、勇気 という5項目の五角形です。

知性50、人間力50、喜び50、苦しみ50、勇気50の人が「喜び」100になったとします。そのほかの項目はどうなるか。苦しみが25に減るかもしれないけれど、その他の項目はそれほど伸びないのでは無いでしょうか。それどころか、勇気や人間力が減るかもしれません。
逆に、
知性25、人間力25、喜び25、苦しみ25、勇気25の人が「苦しみ」100になったとします。すると、時間を経てそのほかの項目も100に引き伸ばされていくのです。
つまり、全体で見た場合、喜びを味わう体験よりも苦しみ味わう体験が人生を豊かにしていることになります。
一見良いことが起きて喜び100になった方が幸せだと思いますが、人生レベルで考えると一概に起きたことが幸せにつながるとは言えないのです。

大事なことは「落差」が生み出すエネルギー(生命力)です。
人は生命力のある人に惹きつけられます。一緒にいると自分の命も刺激されるからです。筋肉と一緒で、刺激を受けて動き出すのです。心が動き出せばもっと心は動きたくなる。つまり生き生きし出す。


テレビをつけると、その人が出てるとつい見ていたくなる芸能人ていませんか?(私はテレビを見ないので、YouTubeやラジオで確認するのですが。。)
その人たちのことを調べると、必ずどん底を経験しています。長い間底辺を生き延びてきた人もいます。
テレビの世界に関わらず、経営者や芸術家でも、どんな職業の人でも、惹きつけられる人というのはもれなくどん底を体験している人が多いのです。

それは、どん底に落ちてからパワーが強まり、さらに大きなどん底を体験してまたパワーが強まり、ということを経験してどんどんすごいことをするパワーがついていったのではないでしょうか。


もちろん、わざわざどん底に落ちる必要なんかありません。
できることならずっと幸せに平穏に暮らしていたいものです。
でも、もし望まないことが訪れたとしたら、自分を拡大させるためにやってきた試練だと受け止めて欲しいと思います。


明るい色しかないパレットで描く絵は、幸せで安心できる絵になります。誰が見ても綺麗で安心する絵です。
暗い色も明るい色もあるパレットで描く絵は、もっとたくさんのことを表現できます。

人々の意識を揺り動かし、生命力を刺激する絵も描けます。安心なんかさせません。「生きるとはどういうことか」と、突きつけてくる絵も描けるのです。たくさんの色やタッチで人に訴えかけ、見る人を受動的ではなく能動的にさせる絵も描けるのです。本当にすごい絵というのは、見た人の生命力に刺激を与える絵だと思うのです。

人生を彩るには、楽しいことだけでなく訪れてしまった望まない辛いことも必要だと思う今日この頃です。

YouTubeで図を用いて説明してみました↓


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